キャラとネーミング。

おかっぱ

2013年06月12日 17:11


しばらく前にニュースになっていましたが、かなりグッとくるネーミングが発表されましたよね。その名も「母さん助けて詐欺」オレオレ詐欺の手口の巧妙さや複雑さに、ネーミングがそぐわなくなってきたということで、新名称を募集していたんだそうです。悲しいかな、募集するほどいまだに被害者が減らないということを嘆くと同時に、いかに多くの人に警鐘をならすことが出来るか、という点がこの公募のポイントだったのではないでしょうか。ニュースを拝見しながらワタシもいくつか考えてみましたよ。「姉さん、事件です詐欺」や「ATMよりAKB」や「なめたらあかんぜよ、麻宮サギ」などのネーミングが最終候補にあがりましたが、応募する勇気はありませんでした。でも「母さん助けて詐欺」と方向性はさほど変わらないような気がしては、自己満足して納得する今日この頃。

ネーミングによって、これほど衝撃が走ったのは久しぶりです。「こっ、これは」という驚きと、後をひく鈍痛。テレビからは世間のどよめきが見て取れました。そしてこのネーミングを咀嚼していくうちに「この感じ、前にも味わったことがあるぞ」という思いが脳裏をよぎったんです・・そして「ハッ、アレだ」と思い出しました。「そうだ、奈良のマスコットキャラクター“せんとくん”の時と一緒だ」と気づいたのです。一目見たらこびりついて離れないルックス。パッと見のインパクトとめまい。「選考委員は体調悪かったのか?」と架空の理由をつけてもなお、すんなりとは受け入れられない鹿童子。泣く子がいるのも納得の違和感と、妖怪に近い感じがするあの微笑。手つきもぎこちないし、人間でもなければ、鹿でもない。かといって決して神様にも見えない・・という、多くの人が困惑したであろうその存在。あれはちょっとしたコンフューズ。

食わず嫌いはしないでおこう、は常に胸に留めている永久キャンペーン。そのおかげでワタシの中にせんとくん抗体ができたのか。もしくはせんと教の悟りを開いたのか。以後つづく「ゆるキャラ」なるものの類は、ちょっとやそっとでは驚かなくなりました。ふなっしーのキレキレダンスも緑茶すすりながら、孫のおゆうぎ会を見るようなまなざしで温かく見守っているワタシがいます。その時に改めてせんとくんや、母さん助けて詐欺がぶっとい注射になり、たしかに抗体となって効いていることに気づいたんです。そしてよ~く見ると、せんとくんもそれなりにカワイイし、愛着が沸いてくるからフシギですよね。あの合掌する手つきも、時おり神々しく見えなくもない・・

あらゆるネーミングも、ゆるキャラが開拓してくれた新文化も、いくばくの拒否反応こそあれど、徐々に受け入れられ、ゆくゆくは国民みんなで育てていくような楽しみと味わいがあるのが、とてもいいな~と思います。そう考えると、自分の名前もあなたの名前も、学校も企業も、ありとあらゆるものが育てていくことで愛され、親しまれていくんですよね。「田園調布に家が建つ」・・あ、これは星セント・ルイス師匠だったわ。 


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