サンゴテンプラ。

おかっぱ

2012年09月18日 12:07

台風一過の昨日は家族揃って外出へ。そして道すがら「こんなトコあったんだ~」という新発見の海産センターに入ってみた。入り口にはゴーヤやナーベラーなどの島野菜が販売されていたり、その隣ではイラブチャーやアカジンといったビビットカラーの魚達が販売されていたり、目にも鼻にも刺激たっぷりな要素が満載。そんな中ミジュンの天ぷらの試食があったので、ワタシは迷わず手を延ばし、グルメリポーターな気分で一匹パクッと口に入れた。「・・間違いない!」思わず口から飛び出したのは今一番サムイ時期のこのフレーズとニヤリ顔・・「よし、誰もいないぞっ」と周囲に聞かれていない事を確認し、手に天ぷら油がべったり付いたまま、その場をそそくさと退散。そしてその奥にあった食堂で昼食を取ろうとメニューを品定めしていた。そんな時、子供らと魚の水槽に魅入っていたはずの旦那が、ミジュンの試食コーナーの方から「ちょっとこっち来て」と手招きをしている。そして言われるがままに向かい、旦那の手のひらを見るとそこにはミジュン一匹が横たわってた。「え?それがどしたの」と思ったと同時によ~く見てみると、そのミジュンはミジュンではなくサンゴ!「サンゴの石がそのままミジュンと一緒くたにされて天ぷらにされて試食用のタッパーに並べられていたんだっ」と旦那はニコニコ微笑んでいた。そしてそのサンゴテンプラを手のひらに載せたまま二人で「すごいね」とか「一見区別つかないもんね」とか「調理の人分かんなかったんだね」とか言い合いながら、二人の頭の上ではモクモクと想像が膨らみ「試食のタッパーに来るまで」のサンゴの旅をさかのぼる。サンゴが海を漂う様子から、何の拍子にかミジュンの群れと一緒に網に捕らえられ♪それを漁師がミジュンと思ってさ、煮てさ、焼いてさ、食ってさ~♪と結果、手乗りサンゴになるまでを想ってみた。そっと触ってみると明らかにミジュンではなくサンゴ。空洞ある石灰石。まぎれも無い海洋生物。糸釣りの時には重りとして適している重量のストーンである。「いざとなったら何でも挑戦!」という気持ちの上でワタシの師匠である「なるほどザ・ワールド」の益田由美リポーターになりきって一口あ~んと頬張ってみる。「ガリン・・」という音がした。完全にワタシの歯の負け。“砂を噛む”とはまさにこの事だろう、全然面白くも楽しくもなんとも無いし、家族はすでに奥の食堂でメニューを品定めしてワタシは置いてけぼり・・口直しとしても海の幸としても申し分の無い、食堂のイクラ丼定食はガリンという歯ごたえではなく、プリップリのトゥルットゥルで大満足。満腹太郎なお腹と気分で改めて考えたら、このサンゴテンプラは誤解や誤算でここまで辿りついたんだよね。そして人によっては「何だよ!天ぷらじゃなくてサンゴじゃねぇかよっ」と怒るかもしれない。ましてや子供やお年寄りだったら誤って飲み込んだら事故につながったかも。でも旦那は「ちょっとこれ見てよ」と怒るわけでもなく、子供が面白いモノ見つけた時のような表情をしてワタシに見せてくれた。ワタシもその気持ちに間違いなく共感したし、結果食べることも出来ないし、捨てるのも可哀相だったから、そのまま家に持ち帰ってきてしまった(試食だからいいよね?)そして何よりこの状況にサンゴテンプラちゃんが一番ビックリしているだろうね。「聞いてよ~わたし海で泳いでいたのに網に捕まってミジュンと間違えられてトドメに揚げられたのよ~」とか言ってんだろうか・・衣をキチンと剥がして海に返してあげようね、サンゴテンプラちゃん。

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