2013年01月21日
8時。
小学生の頃、女の子3人でいつも登下校していた。学校への道は住んでいる集落から1キロくらいの直線道路をただひたすら進むのみ。何も遮るものがない平地に広がるウージ畑をただひたすら歩く。大人が表現すると“過疎地”というまさにド田舎な地域だったものだから、雑音もなければ車もめったに通らない。片側一車線で歩道ありの通学路だったのだが、直線道路は途中までは上り坂になっていて、その後は平坦でまっすぐな道が学校まで続く。小学生の通学時間は「遅刻しない」という規則よりも「昨日のアレ見た?」という話題で友達と盛り上がることに重きをおく。そして反比例するように足はなかなか進まない。ケラケラ笑えば足が止まったりするほど。時計も持っていないので、遅刻しないように歩いていてもどのくらいのペースで歩けばいいのかも検討つかない。けれども唯一の手がかりがワタシ達にはあった。それは学校隣の郵便局に勤めている兄ちゃんが通勤するバイク音。その兄ちゃんはおそらく8時頃に、通学路の直線道路を「ブルンブルン~」と、じいちゃんが乗るようなスーパーカブでワタシ達の横を通り過ぎるのである。学校に着く頃に「ブルンブルン~」とポストマンがワタシ達を通り過ぎればセーフ。けれども上り坂を上りきれていない時に、後部から「ブルンブルン~」とカブの音がする朝もある。そんな時はもう遅刻ギリギリという事を意味するのでひたすらダッシュ!上下左右に揺れる赤いランドセルに体を振り回されながらウージ畑で徒競走!いつしかポストマンがワタシ達の時計がわりになり、セーフかアウトかのバロメーターになり、そのバイク音がいかに時間に正確かを知ったワタシ達。同じく、ポストマンを時計がわりにしていた他の児童であろう誰が命名したかは知らないが、そのポストマンのあだ名は「8時」となりました。背部から「ブルンブルン~」と聞こえたら「8時がきたぞ~!」と叫びながら走るっ。勝手に勝負を挑んでは「8時にまけるな~!」と追い抜かれないように走るっ。8時が郵便局に着けば「8時が仕事に行ったぞ」といい、8時が髪を切ったら「8時が変わったぞ」とみんなに伝達する。8時に彼女がいるらしい、と噂が広がれば「8時もちゃっかりしてんね~」とブルンブルン~と通学路を通り過ぎる8時を横目で見送る・・。ランドセル背負う年齢でも3人がヒソヒソ話すれば、女の子はオバちゃんとさほど変わらない。オープンなコミュニティーは子供も立派な仲間の一員です。
あれからすごく時間が経ったような、でもつい最近のコトのように思い出せる懐かしい記憶。
朝8時頃になると時々、楽しかった通学時間を思い出します。枝分かれしたそれぞれの花や葉も、幹や根が同じならいいじゃないか。

あれからすごく時間が経ったような、でもつい最近のコトのように思い出せる懐かしい記憶。
朝8時頃になると時々、楽しかった通学時間を思い出します。枝分かれしたそれぞれの花や葉も、幹や根が同じならいいじゃないか。

Posted by おかっぱ at 11:15│Comments(0)
│ニチジョウ