2012年10月19日
銀バス。
物心ついた頃から、もしかしたらそれ以前からよく母に聞かされた話、それが母の「銀バスの悲恋」。母は父と知り合う前の専門学生時代に友人の紹介を経て、とあるバスの運転手と交際をしていたそうな。そしてその彼が運転していたのが那覇交通の銀バス。「すごくハンサムで優しかったよ~」と目線をうわの空に持っていきながら昔話に目を輝かせる母を、ボーっとただ見ていた幼きワタシとその他家族。そして誰も“なれそめ”も“いきさつ”も聞いちゃいないのに「でもね、結婚しようって話したんだけど、オジイが猛反対して結局別れちゃった・・そしてその後にあなた達のパパと出会ってあんた達が産まれたってわけ。良かったね~」といつも話を締めくくる。・・でも何だか良くないっ!ってかこの後味はナニ?微妙なハッピーエンドのようなそうでないような・・この胸ワサワサ~で肝フトゥフトゥ~な感情はっ・・と子供の小さな胸ながらに思ったさ。そしてワシミルクいっぱいのミロをガブ飲みしたさっ。その横で寡黙に何にも言わずに酒をチビチビ飲む父の背中が忘れられないさっ。そんな話を酒の肴にしていた父の胸中を察したさっ。そしてワタシ達家族は知っていた、彼女はまだ語ると。一旦この恋話が始まるとなかなか止まらないと。ブレーキが効かないと。それこそ銀バスで国際通りを突っ走ると。バス停で手を挙げているのに停車しないあの運転手のように(経験アリ)そしてやはりバスは停まらず“銀バスの恋の物語”は続くのでして。「ある日道を歩いていたら偶然銀バスを運転した彼が道を走ってて~そして運転席からこっち向いてニコって笑ったら奥歯の金歯がキラッと光ったの~」って、まるでそこが恋話のクライマックスみたいに話したけど・・ちょっと金歯って。ゴールドトゥースって。銀バスなのに金歯って。シルバーにゴールドというまさかのコラボ!いいんですか?それでいいんですかっ(ジョン・カビラ)・・いいんですっ!(川平慈英)って心の中で自問自答の押し問答になっちゃうくらいに納得いかないったら。・・その話を聞いた子供の頃のワタシはアタマノナカが「銀バスの兄ちゃんが金歯で走って・・」とキラキラしたようなピカピカしたような仮想の景色と、心のダークでモヤモヤした感情が入り乱れて、掻き回されて、バスで悪酔いしたような気分になっていたような。・・そしてそんな母も数十年経った今は、悠々自適な生活を謳歌し、赤みがかったワイン色のジャージにシルバーのポイントが付いた服を着て夜な夜な出掛けては、周囲のみんなから「よっ消防団!」とあだ名を付けてもらったり「火の用心パトロールご苦労様ですっ」と敬礼されているそうな・・拝啓 消防団マザー、地元の火消しと恋の火消しをよろしくお願い致します。かしこ
追伸 ワタシはどうしてこの話を思い出したのでしょうか。母が懐かしそうに語ったあの頃と同じ年頃になったせいかな・・

追伸 ワタシはどうしてこの話を思い出したのでしょうか。母が懐かしそうに語ったあの頃と同じ年頃になったせいかな・・

Posted by おかっぱ at 13:05│Comments(0)
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